思春期の子どものうつ病サイン。子どもがうつ病になったらどう接するのが正しいの?

日本では子どものうつ病発症が近年増え続け問題となっています。中学生や高校生だけでなく、小学生でもうつ病を発症する子どもが増えているのです。子どもがうつ病を発症した場合、自分では気づくことができなかったり、思春期の子どもは親に言えないなどで症状がさらに悪化してしまう場合もあります。子どものうつ病発見には、子どもが出すサインに親が気づけるかが肝となるのです。

思春期の中学生・高校生はうつ病になりやすい

近年、新型コロナウィルス感染症の影響もあり、中高生がうつ病を発症する割合は、中学生が24%、高校生が30%というデータが出ています。(国立成育医療研究センターによる「コロナ×こどもアンケート」第4回調査報告)

中学生・高校生は思春期ということもあり、環境の変化やホルモンバランスも崩れるためストレスを抱え込みやすく、吐き出す方法も自分で見つけることが難しいため、うつ病を発症しやすいとされます。

思春期や反抗期との区別が難しく、「うつ病ではなく怠けているだけ」と捉える傾向があるため、周りの親や大人がうつ病との区別をしっかり認識することがとても重要です。

原因

10代は年齢とともに身体も大きくなるため、心も変化していきます。
中学生・高校生を含む思春期の子どもがうつ病を発症してしまう原因は大きく分けて以下も通りです。

・心と身体の成長に伴うホルモンバランスの崩れ
・人間関係
・将来や環境変化への不安
・自己の確立
など

思春期には、他人からの評価や目線が気になったり、周りと違ってはいけないなど、他人との違いを意識する年齢でもあります。さらにこの時期は異性に対して興味を抱く年齢でもあるため、恋愛に関する悩みも増えるでしょう。
それに加え、受験や将来の仕事のことなど、親や学校の先生、周りの大人からあれこれ言われることを煩く感じたり、逆に聞き入れすぎて不安になってしまうなど、環境の変化や将来に対しての不安からストレスを溜め込みやすくなり、うつ病を発症してしまう可能性もあります。

症状

・食欲の増加
・過眠や不眠などの睡眠障害
・イライラが慢性的に続き攻撃的になる
・体重の増加
など

中学生・高校生を含む思春期の子どものうつ病は大人のうつ病とは違い、食欲の増加・過眠が主な症状となります。

大人のうつ病は気分が落ち込んだりやる気が出ないなどが挙げられますが、思春期のうつ病はイライラが慢性的に続くことが症状の一つとしてあります。
食欲が増加ことやホルモンバランスの変動により、体重の増加も症状の一つとして捉えられます。

子どものうつ病のサインに気づくには?

子どもが自らうつ病だと気づくことはとても困難です。そのため、親や周りの大人が子どもが出すうつ病のサインに気づくことが、早期発見の第一歩となります。

普段と違う言動や行動には要注意

思春期の子どもがうつ病の場合、普段からは考えられないほど攻撃的な言動や行動を起こした場合は、うつ病である可能性があります。
思春期や反抗期でもイライラすることはありますが、イライラや攻撃的な言動や発言が慢性的に続く場合は、うつ病かもしれないと注意が必要です。

不眠や過眠などの睡眠障害を起こしている場合もうつ病である危険性が高くあります。
症状が悪化すると「死にたい」などの発言や、自傷行為に至ってしまう可能性もあるため、子どもの言動や行動には注意しておきましょう。

子どもがうつ病の場合の接し方

子どもがうつ病を発症した場合は、まずしっかり話を聴きましょう
その際、否定的な発言はしないよう心がけることが重要です。また、無理に話を聞き出そうとするのではなく「話したくなったら話してね」という気持ちを伝えると良いでしょう。

また家庭内では安心感を与える環境を整えることを考えましょう。
好きなものに囲まれる、リラックスできる空間を作るなど、本人が家にいて安心できるような環境を作ると、心が落ち着けてリラックスし、病気の発症を防ぐだけでなく回復力を促すことにも効果的です。

チェックリスト

1.  食欲が増加(または低下)している
2. 過眠や不眠などの睡眠障害の可能性がある
3. イライラや不安感が慢性的にある
4. 不登校や引きこもりの要素がある
5. 思考や集中力の低下が見られる
6. 体重が増加(または低下)している

これらのチェックリストに当てはまる場合は、子どもがうつ病を発症している可能性があるため、早めに病院で受診を促しましょう。

思春期のうつ病に対する治療法

若いうちにうつ病を発症すると、大人になってからもうつ病を再発しやすくなるため、早めに処置をすることが大切です。

まずは学校の先生の話を聞く

子どもの様子がおかしいと感じたら、まずは学校の先生に話を聞きましょう。
普段学校でどのように過ごしているか、他の人との接し方や変わった箇所などを細かく聞き、普段と違う行動が見られればうつ病の可能性が高いです。

専門医に相談し治療を始める

思春期の子どものうつ病は反抗期との見分けがつきにくいため、早めに専門医に相談することも大切です。
子どもが自分で気づくことは困難なため、普段の生活態度と異なる点や行動が見られた場合、かつ親が判断に困った場合は病院で専門医に診察をしてもらいましょう。

家庭でできる対処法は?

子どもが病院に行きたくない場合や、まだ病院に行くほどではないと感じた場合には、家でできる対処法を実践しましょう。

<適度な運動で心と体をリフレッシュする>
うつ病えお発症すると運動不足になりがちです。まずが適度な運動を継続して行ってみましょう。
部活での運動ではなく、公演を散歩したりランニングするなど、自然と触れ合う場所だとなおリフレッシュ効果があるでしょう。

<紙に心情を書いて気持ちを整理する>
文字を書くという行為は、自分の気持ちを客観視できる一番良い方法です。
客観視して自分を見れると不安や心配が和らぎ、冷静に物事を見ることができるため、心の整理整頓にとても効果的です。

<寝る前に瞑想をし、呼吸を整える>
特に不眠などの睡眠障害がある子どもにおすすめなのが瞑想や呼吸法です。
瞑想と聞くと大人がするイメージですが、瞑想は今の自分を見つめ直し前向きな気持ちへと導いてくれます。
深い呼吸をすることで緊張がほぐれるため、自律神経の乱れにも効果的です。

交感神経が昂ると疲れやすくストレスが溜まるため、寝る前に瞑想や呼吸法で自律神経を整えてあげましょう。